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巷で話題の若返り美容法 その実カと弱点とは

世間には老化を防ぐための様々な美容法が出回っています。しかし、これまで見てきたように、細胞の老化にあらがうことができる美容法は存在するのでしょうか。ここからは、巷で話題の若返り美容に関して、その実カや弱点について考えてみます。美肌サブリと言えば、コラーゲンやヒアルロン酸などの美肌成分が含まれたジュースや、スムージーなどに溶かして飲んだりする粉末パウダーなどの商品が、ロング&ベストセラーになっています。これは美肌成分を飲んで体の内側から補給しようという考えです。体内で発生した活性酸素を除去する抗酸化物質入りのドリンクやサプリメントも人気で、ものすごい数の商品が世の中に生み出されています。

これらのサブリは、「美肌にプラスになるかもしれない」というイメージを持つ食品の成分が濃縮されて、たっぶり入っているように説明されています。たとえば、美肌成分として一番身近なビタミンCであれば「レモン20個分のビタミンCがたっぶり」などと表現されます。コラーゲンを例にして考えてみると、いかにもたくさんのコラーゲンがたっぶり入っているような宣伝文句に触れると、肌に良さそうで、すぐに美肌になれそうな気がします。しかし私たちが食べたものは、全て一度は細かく分解されて、アミノ酸として貯蔵されます。

そして必要に応じて皮膚、骨、血管などになるために再結合されます。ですからコラーゲンを食べても飲んでも、そのままコラーゲンとして肌に直行して、肌のハリや弾力に役立ってくれるわけではないのです。せいぜい、「コラーゲンをつくる材料を豊富に貯蔵しておける」という程度の効果です。「でも、フカヒレを食べた翌日はお肌がプリプリになるけれど、これはコラーゲンのおかげではないのか」と思う人もいるでしょう。どう考えても、一晩寝ただけ、ほんの8時間足らずで、フカヒレのコラーゲンタンパク質が、肌に定着してコラーゲンを増やしたということは考えにくいです。

たぶん、フカヒレと一緒に調理された油によって、皮脂の分泌が増えて肌がツヤっぼくなったり、フカヒレと一緒に飲んだお酒やジュースでいつもより水分をたくさん摂ったから、体重が増えて、若干むくみ気味になり、シワっぼかった肌に、一時的にハリが出たのかもしれません。でも一時的にでも、肌がいい方向に向いたのであれば、フカヒレも美肌に効果ありと考えても良いでしょう。「食べて若返る」効果に関しては、あまり即効性を求め過ぎず、習慣的に続けていくことで、少しずつ老化を遅らせることができるという程度の期待に留めましょう。

老化を止めるのは限界がある

現在、世界中でテロメアが注目され、さまざまな研究が進んでいます。たとえば、100歳以上の長寿者は、テロメアが長いという報告もあります。皮膚の細胞に関してもテロメアが影響を与えており、皮膚の細胞のテロメアが短いと、紫外線ダメージを受けやすくなります。すると、色素沈着が進むだけでなく、皮膚がんのリスクが高まることが、マウスを用いたスペイン国立がん研究センターの研究で明らかになっています。

適度な運動を日常的に行ってきた高齢者は、そうでない高齢者に比べてテロメアが長いことも明らかです。慢性的に疲れが取れず、ストレスにさらされてきた人は、そうでない人に比べてテロメアが短いこともわかっています。喫煙、過度の飲酒、慢性的な睡眠不足、過食や肥満、過激な運動、化学物質、大気汚染、ウイルス・細菌感染などによって体内に発生し、細胞を傷つける「活性酸素」がテロメアを短くすることも報告されています。

活性酸素は私たちが息を吸ったり吐いたりするだけでも発生してしまう、言ってみれば人間が逃げられない、老化を進めてしまう物質なのです。活性酸素を消して、細胞のダメージを防いでくれるのが、「抗酸化物質」で、野菜や果物などに豊富に含まれています。ただし、抗酸化物質の効果にも限界があるので、永遠の若さ、永遠の命を手に入れることはできません。細胞レベルで考えても、今まで紹介した方法では老化を止めることには限界がある、という結論にたどり着きます。

遺伝子のコピーミスで肌老化?

「母がオイリー肌だから私もオイリー肌なんです」とか、「父が色黒なのが遺伝してしまって」など、「遺伝」という言葉をよく使うかと思います。髪の色、目の色、肌の色、血液型など、親から子へ形質が伝わる現象を遺伝と言います。そして細胞の寿命を運命づけているのが「遺伝子」です。遺伝子は「細胞の設計図」だと考えてください。設計図がなければ、どんな細胞にすればいいのかの情報がないため、細胞分裂しても、元の細胞と同じ機能を持つコピーをつくることができません。

正常な細胞をつくり育てるためには、正常な遺伝子情報を保ち続けることが大切です。私たちが老化するのも、遺伝子が関係していると考えられています。つまり老化は、遺伝子が間違った設計図に書き換えられてしまったり、一部分の情報が間違っていたり、抜けていたりすることで、今までどおりの健康なタンパク質をつくれなくなることが原因で起こるとも考えられています。そして遺伝子にミスが起こるのは、加齢、紫外線、活性酸素、大気汚染、有害物質などのストレスが細胞を傷つけるからです。

痩せ型、丸顔、黒髪など、私たちの体の特徴に関する情報がたっぶり満載されている染色体は、その両端からDNAの鎖がほつれてしまわないように、テロメアというタンパク質でしっかりと保護されています。それはちょうど靴ひもの両端にあり、ひもがほつれないようにしっかりと保護しているプラスチックのようなものだと考えてください。テロメアは遺伝情報が入ったDNAが集まっている染色体の両端をしっかりと保護していますが、年齢と共に何度も何度も細胞分裂を繰り返しているうちに、テロメアが短くなり、テロメアがなくなると細胞分裂が終わってしまい、細胞の寿命を迎え、死んでいきます。

私たちの細胞には寿命がある?

いつまでも生まれたての細胞ばかりの赤ちゃんのような肌を維持できれば、シミ、シワ、たるみ、黒ずみ、毛穴開きなどを気にして、スキンケアをしたり、エステサロンに通ったり、美容整形をしたりせずに、肌の悩みなどなく過ごせます。しかし残念ながら、科学が進歩した今も、肌の老化を止めることはできません。それはなぜかというと、私たちの細胞には寿命があるからです。約260種類ある私たちの体内の細胞は、それぞれ寿命が異なります。たとえば、一番寿命が短いのが、胃や腸の内壁を覆っている「上皮細胞」で、約24時間しか寿命がありません。

そして皮膚の細胞が約28日、血液に含まれる赤血球が約120日、骨の細胞が3年。中には、心臓を動かす「心筋」と脳の「神経細胞」のように生まれてから一度も細胞分裂をしない細胞もあります。胃や腸は、私たちが飲み食いしたものが通過したり、消化吸収したりするので、容易に汚れたり傷ついたりするため、24時間と短い寿命でどんどん細胞が入れ替わっているのです。肌も胃や腸に負けないぐらい、紫外線、乾燥などさまざまな刺激にさらされているので、傷ついた細胞をいつまでもそのままにせず、次々に新しい細胞と入れ替えるために、ターンオーバーの日数が28~60日前後と早めです。私たちの体にあるおよそ60兆個の細胞の一つ一つは、細胞分裂を繰り返しながら、一個から2個へ増え続け、それを繰り返すと寿命が訪れて死んでいくのです。

肌の真皮にあって、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを生み出す美肌の工場「線維芽細胞」も、とても残念なことに約50回の細胞分裂を繰り返すと寿命が訪れて、仕事を終えた細胞は死んで、新しい細胞に入れ替わっています。細胞には、細胞分裂をする回数券があり、その回教券を使い終わると、その細胞は死んでしまうのです。回数券の枚数は、細胞によって違い、何度も細胞分裂できる細胞と、できない細胞があります。でも残念ながら、どの細胞も回数券を新しく買い足すことができないので、細胞分裂の回数は、増やすことができません。細胞は生まれながらにして、働ける時間が運命づけられているのです。

いい睡眠でホルモンカアップ

睡眠不足になると二キビや吹出物、目の下のクマなどが気になるかと思います。この原因は肌代謝(ターンオーバー)が乱れるから。健康な肌は約28日周期で新しい肌に生まれ変わります。しかしこの周期が遅れると、古い角質が残ったまま肌の表面が固くなりシワやくすみの原因になります。さらに肌代謝は眠っている間に行われます。特に活発に肌代謝が行われているのが、眠りについてからのおよそ3時間の「ノンレム睡眠」の間です。ノンレム睡眠とは夢などを見ていない「深い眠り」のことで、この間に肌代謝を促進する「成長ホルモン」がさかんに分泌されるのです。

成長ホルモンの分泌は20歳ぐらいから徐々に減少してしまいますが、若さを保つためには、なるべく自分の体から成長ホルモンが分泌されるようにぐっすり眠ることが大切です。米国の研究によると平均睡眠時間が4時間以下の人は7時間以上の人に比べて73%も肥満になる確率が高いそうです。また別の研究結果では、睡眠時間が短いといつもより20%も多く食事を摂ってしまい、しかも甘いものや塩気の多いもの、炭水化物など太りやすい食品を好んでしまうとのことです。このように睡眠不足によって、太ってしまったり、糖化が進んでしまったりする危険性もあるのです。

ホルモン不足による肌老化を予防するには、睡眠をしっかり摂ることが重要です。夜型の生活を続けている人、睡眠時間が短い人、途中で目が覚めてしまう人などは、ぐっすり眠れるような生活習慣に換える努力をしましょう。運動も成長ホルモンの分泌を促進することがわかっています。軽い有酸素運動と一緒にダンベル体操やスクワットなどの体操を加えて、毎日少しでもいいので運動を行うことが大切です。食事のバランスも大切です。大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをすることで、注目を集めています。