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肌のキメこそ美肌へのカギ!

肌の一番表面にある角層は、ラップ程度の厚さ(0・02ミリ)しかありませんが、角層細胞がちょうどレンガのように10~20層にも積み上げられています。それだけでは不安定なので、さらにレンガとレンガのすき間を埋め尽くす「細胞間脂質」という脂質が、セメントのように角層細胞をがっちりとつなぎ合わせて、角層の下に細菌が侵入したり、水分が蒸発したりしないようにブロックしています。この細胞間脂質には、美容成分としても有名な「セラミド」や、定期検診やメタポチェックでおなじみの「コレステロール」、そして「天然保湿因子(NFM)」という保湿成分が含まれています。

これらの美容成分が、肌表面の角層のうるおいを維持していますが、特にヒトの肌が持つ賢い性質として、油性成分と水性成分が交互に積み上げられ、水と油がしっかりと結びついた「ラメラ(層状)構造」になって、肌表面のバリア機能を強化しています。表皮の角層の上に実はもう一つ「皮脂膜」というバリアがあります。これは肌の表面の毛が生えてくる「毛孔」、俗に言う毛穴から分泌される皮脂や汗が混じって肌の表面をバリアのように覆い、肌を乾燥から守っているのです。皮脂と汗が混ざってラメラ構造となり、油分にも水分にも強いバリアになります。

美肌の敵の一つに、毛穴があります。もし毛穴が一つもなければ、お人形さんのようにキレイな肌になれたはずです。しかし毛穴は、毛髪を育てるという大切な仕事をしているほかに、皮脂も分泌します。毛穴に古い皮脂が溜まったままでいると、時間が経って酸化して黒ずんで固まり、毛穴を押し広げて目立たせてしまいます。肌の表面は氷のようにまっ平らではなく、「皮溝」という「へこみ」と、「皮丘」という「出っ張り」があり、これで肌のキメをつくっています。

キメがそろっていると、光の反射を均一にして、光の反射のカで、見た目に肌を白く透明に見せてくれるのです。キメが整った肌というのは、この皮溝と皮丘の大きさが均一で小さい状態のことをさします。逆に、キメが整っていない肌は皮溝と皮丘の大きさがまちまちで統一性がなく、皮溝がだんだんと大きくなってつながり合っていくと、シワに見えてしまうのです。キメが整っていないと光の反射する方向がまちまちになってしまい、光反射による美肌効果も失われてしまい、くすみや黒ずみが目立つ肌に見えてしまいます。

シミやくすみを予防するには?

表皮は肌の一番上、外側にあり、外界と直接接触している、ちょうど「桃の皮」 のような存在です。桃の皮も薄いですが、肌の表皮の厚さは体のパーツによって異なりますが、かかとは分厚い表皮で0・3ミリ、目のまわりはかなり薄い0・1ミリほどの表皮で覆われています。なぜ体のパーツによって表皮の厚さが違うかというと、目のまわりの肌は、まぶたを閉じたり開いたり、まばたきするたびに伸縮自在に動かなければいけません。「目は口ほどにものを言う」というように、細やかな表情の変化を出すために、肌が繊細に動く必要があります。そのため、薄くて動きやすい表皮になっているのです。

一方かかとの表皮は、黙々と体を支えるために、踏ん張り続けても傷つかず、汚れた地面を踏んでも細菌感染を起こさないように、厚くて頑丈にできています。桃の皮は薄皮が一枚だけのシンプルな構造ですが、ヒトの肌の表皮はたった0・2ミリしかないのに4層になっていて、肌の内側を守るために非常にしっかりとした構造でできているのです。肌の内側には「基底層」という場所があり、ここにある皮下組織より「真皮」からもらった栄養や酸素を使って、肌に特有の「ケラチノサイト(角化細胞)」を生み出します。ケラチノサイトは粘土のブロックのような細胞で、水分をたっぶり含みながら、肌を外側から攻撃する乾燥や紫外線などのストレスから、肌の内側を守っています。

表皮の内側の基底層には、「メラノサイト(色素細胞)」があり、紫外線を浴びると、メラノサイトが反応して、「メラニン」という色素をつくり、紫外線の強い光が真皮にまで深く侵入して、肌にダメージを与えないようにブロックします。メラニンはとても大切な役割を持っているのですが、こうしてできるメラニンが日焼け、シミ、くすみの原因になるのです。だから紫外線をブロックして、メラノサイトがメラニンをつくらないようにすることが、シミやくすみを予防する最も有効な方法です。

表皮の内側にある基底層で生まれたケラチノサイトは、新しく生まれたケラチノサイトに押し上げられて、肌の表面に徐々に近づいて行き、14日~40日で顆粒層まで到達します。そこで角層細胞となり、さらに約14日間の役目を終えた角層細胞は、垢となって肌から剥がれ落ちて行きます。つまり、皮膚の細胞の寿命は28日~54日程度だということです。この一連の流れは、一般的に 「ターンオーバー」と呼ばれています。ターンオーバーの周期は年齢とともに長期化してしまいます。これによって古い細胞がいつまでも肌の表面に残り、肌の弾力やハリが失われ、シワも目立つようになります。

一方で紫外線などから肌を守ろうとするメラニンは変わる事なく生産され続け、ターンオーバーが遅くなると、いつまでもメラニンが垢となって剥がれてくれないので、肌の透明感が失われて、シミとくすみが目立つようになります。ターンオーバーの周期は、線維芽細胞や表皮幹細胞が新しい細胞を生み出すカにかかっているのです。特に肌の表面部分の若さを維持し、肌老化を防ぐには、表皮幹細胞を活性化し、ターンオーバーを促進することでキメの整った透明感のある肌を取り戻すことができます。

ハリとうるおいを与える正体とは?

皮下組織のすぐ上にあるのが「真皮」です。ちょうど「桃の果実」の部分と似ています。桃の果実にはビタミンC、食物繊維のペクチン、そして甘い蜜のような水分が豊富で、実際に触ってみると、水分たっぷりでみずみずしく、かじると繊維質がたっぶりで弾力性があります。私たちの肌にある真皮も、ちょうど桃の果実のように、うるおいと弾力(ハリ)を保つ成分が豊富です。その成分が、誰もが聞いたことがある有名な美容成分「コラーゲン」「エラスチン」「ヒアルロン酸」です。皆さんはすでに知っているかもしれませんが、「コラーゲン」は繊維状の太くて柔らかいタンパク質で、真皮の中で網の目のようにお互いに交差しながらハリを与えている柱のような役割を持っています。

この網の目のつなぎ目部分に、さらにもうひとつ、バネのような弾力を持つタンパク質「エラスチン」も加わって肌に弾力を与えてくれます。桃の果実の食物繊維にあたる成分が、コラーゲンとエラスチンです。真皮全体にうるおいを与えているのが「ヒアルロン酸」で、水分をたくさん含んだゼリー状になって、真皮のすき間を埋め尽くして守っています。桃の果実にたっぶり含まれる甘い蜜が肌のヒアルロン酸にあたる成分です。ヒアルロン酸は自分の中にたくさんの水分を溜め込むことができ、ちょうど皮下脂肪がエネルギーを保つように、ヒアルロン酸は水分を保って肌のみずみずしさを保ち、肌が乾燥したときにはその水分を使って肌の潤いを回復します。

さらに真皮には、今鋭明した「コラーゲン」、「エラステン」、「ヒアルロン酸」という3つの美肌成分を生み出す「線維芽細胞」という、「美肌のエ場」のような細胞があります。この線維芽細胞こそが、細胞から肌の若さを保ち、若返らせるために必要な細胞です。なぜならコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は、常に分解と生成が繰り返されており、それによって美しい状態が保たれています。活性の良い線維芽細胞と活性の悪い線維芽細胞がつくり出したコラーゲン繊維のモデルが上の画像です。若くて元気な活性の長い線維芽細胞は太くてハリのあるコラーゲン繊維をどんどんつくり出します。一方の活性の悪い線維芽細胞は、細くてカのないコラーゲン繊維しかつくり出せません。

ハリと弾力があり、みずみずしい潤いのある肌をつくり出すには、線維芽細胞を活性化し、太くて力のあるコラーゲンをつくり出すことが重要なのです。真皮の働きについてもう一つ紹介しましょう。また真皮の中には、髪の毛よりも細い毛細血管がたくさんあります。真皮の中の毛細血管が、酸素や栄養をまんべんなく線維芽細胞に届けて、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンなどを生み出しています。ほかにも真皮には、皮脂をつくって分泌する「皮脂腺」や、汗をつくって分泌する「汗腺」、毛髪が生まれて成長する「毛根」、皮膚の水分量を調節する肌のさまざまな機能を司っています。

美肌への道は、肌細胞から!

肌にはさまざまな働きがあることを説明しましたが、これらの働きは、全て肌を構成する細胞一つ一つが持つ機能を利用しています。何が言いたいかというと、肌の機能を十分に発揮させるためには、肌の細胞を元気に保つ必要があるのです。たとえばあなたの肌が乾燥肌だったら、肌の細胞が持つ水分を維持する働きが衰えているか、何かの理由でうまく機能できない状態だということです。また、ニキビや吹き出物で悩んでいる人は、肌の細胞が持つ免疫機能、細菌やウイルスから肌を守る機能が弱っている可能性があります。肌老化も、肌の細胞に何らかの間邁があって、起こるものなのです。

「美肌を保ちたい」「肌老化を予防したい」そう考えたら、自分の肌の細胞で、何が起こっているのか、どんなトラブルを抱えているのかを、自分で考え突き止める知識が必要です。まずわかりやすいように、肌を桃にたとえてみましょう。桃の一番内側、中心には「種」があります。昔話の「桃太郎」は桃の種から生まれましたが、これもあながち根拠がないことではないかもしれません。桃の種には、果実を作る「脂肪油」やビタミンなどが豊富に含まれているからです。桃の種は、漢方薬では「桃仁」と呼ばれています。血行を促進して月経不順や冷え性、関節痛などを改善すると言われる女性にうれしい成分がたっぶり含まれています。

肌の一番下にも、桃の種と同じような働きをする「肌の栄養貯蔵基地」があります。これが「皮下組織」です。皮下組織の大部分は「皮下脂肪」でできています。挑もまん中に「脂肪油」がたっぶり含まれており、肌と似ていることがわかります。「脂肪」と聞くと「美容の敵」と考えがちですが、実は皮下脂肪は肌のハリや弾力性を保ち、さらにはクッション役として、衝撃や熱から体を守る重要な役割をしています。ちなみに皮下組織の下には筋肉があり、筋肉の動きが肌に伝わって、顔の表情や体の動きをつくり出しています。あまりに皮下脂肪が少ないと、筋肉の動きがダイレクトに顔に表れ過ぎて、やさしく柔らかい表情ではなくなり、女性らしさが失われてしまいます。

皮下組織には、肌に栄養や酸素を送り届ける「動脈」と、不要な老廃物や二酸化炭素を運び出す「静脈」、肌の水分を調節する「リンパ腺」などがたくさんあり、肌全体にエネルギーを送りこんだり、汚れをまとめて運び出したりする、ガス、電気、水道、下水などのようなライフラインとしての役割もしているのです。また皮下組織にあるたくさんの皮下脂肪の中には、今は必要がない余ったエネルギーが蓄えられており、いざというときに、新しい肌の細胞を生み出す栄養になる頼もしい存在です。美肌を維持するには、皮下脂肪がなければいけないのです。無理なダイエットや痩せ過ぎで皮下脂肪が少なくなってしまうのは、見た目にも女性らしい柔らかな表情がつくれなくなって、肌を不健康にしますから要注意です。

肌は生命の維持に欠かせない

肌には私たちの体温を一定に保つ働きもあります。暑いと顔が赤くなり、汗が出てきます。これは暑さで体温が上がり過ぎたときにまずは体表、つまり肌への血流を増やして熱を放出するために汗を分泌させようとしているためです。その汗が蒸発するときに気化熱で肌の表面温度が下がるのを利用して、体温を下げているのです。それとは逆に、寒いときに肌が青白くなるのは、肌への血流を少なくして、体の熱が外に逃げないようにするためで、寒さで震えるのは、震えることで筋肉を使って、熱を発生させて体温を上げようとしているのです。

肌の表面から出てくる汗には、体内の余分な物質や水分、老廃物を排出する役割もあります。その逆の役割として、肌はさまぎまな物質・成分を吸収する働きも持っています。薬にも、肌に直接塗ったり貼り付けて使うものがありますが、これは肌が薬の成分を浸透・吸収するカを応用したものです。スキンケア化粧品も、肌の浸透力を研究し、なるべく効率よく肌の中に美肌成分が入り込めるように開発が進んでいます。「この人、何歳だろう」と思ったとき、重要な年齢の判断基準になるのは肌です。

なぜなら、人に見られる外面をスッポリと包んで、一番目に付きやすいのが肌だからです。では、私たちは、どんな肌を見ると若々しいと感じ、逆にどんな肌を見ると老化しているなと思うのでしょうか。次のイラストを比較してください。右のイラストより、左のイラストの方が若々しく見えます。右側には肌老化の5大ポイントがわかりやすく描かれています。このイラストを見てのとおり、シワ、シミ、たるみ、くすみ、毛穴が肌老化のサインです。自分の写真にいたずら書きして、シワやたるみ、シミを書くだけで、自分がどんなおばあさんになるのかが予測できてしまいます。

エイジングケアを怠っていると、あっという間に肌老化が進みます。一度は自分の写真にシミやシワを描いて、「絶対にこうならないようにしよう」と固く決意して、モチベーションを高めるのもよいでしょう。20代、50代と並べてみましたが、意外に若さを維持できているような気がします。実際に肌の老化度を測定する器械で調べると、肌のシワ老化に関しては20代レベル、シミ老化、たるみ老化、毛穴老化に関しては30代レベルと、50代にしてはうれしい結果が出ました。たぶんその理由は、細胞からのエイジングケアを心がけて実践してきたからだと思います。美容に「手遅れ」はありません。